倉本さんがエンジンを切り、シートベルトをはずしたので、あたしもベルトの金具に手をかけた。 と、そのあたしの手の上に倉本さんの手が置かれた。 ん?と顔を上げると、倉本さんの顔が至近距離で微笑んでいた。 うわっ! か、顔、近いよ! ドキン、と高鳴った心臓の音が外に聞こえそう。 でも、さっきまでさんざん笑ってたのに、急に意識したりしたら変に思われるよね。 「なに?」 あたしはドキドキしながらも平静を装って聞いた。 すると、返事の代わりに――