婚約者☆未満


倉本さんがエンジンを切り、シートベルトをはずしたので、あたしもベルトの金具に手をかけた。


と、そのあたしの手の上に倉本さんの手が置かれた。


ん?と顔を上げると、倉本さんの顔が至近距離で微笑んでいた。


うわっ!


か、顔、近いよ!


ドキン、と高鳴った心臓の音が外に聞こえそう。


でも、さっきまでさんざん笑ってたのに、急に意識したりしたら変に思われるよね。


「なに?」


あたしはドキドキしながらも平静を装って聞いた。


すると、返事の代わりに――