あたしはまっすぐ前を向いて運転している倉本さんの横顔を眺めた。 「んー、まあね」 このつまんない堅物をちょっとからかってやろっかな。 「渋谷とか六本木とか、まあ、その辺のクラブじゃあたしの名前知らないやつはいないんじゃない?」 「ほお、そうなんですか」 ふふん、感心してる。 「まあね、ほぼ毎晩遊びに行ってるし」 ほんとはクラブなんて、今年の春に初めて行ってから10回くらいしか行ってないけど。