婚約者☆未満


あたしはそう言ってパパの大きな革の椅子にもたれかかった。


パパは笑いながら、机に広げていた書類や写真を茶封筒にしまった。


「じゃあ、ちょっとお使いにでも行ってくるか?
事務所にこもってるより、気晴らしになるんじゃないか?」


願ってもない申し出だった。


一日中、事務所でコピー取りばかりさせられたんじゃ、息がつまっちゃう。


「うん、行く!」


二つ返事でOKしたあたしに、パパは茶封筒を差し出した。


「じゃあ、これを横浜支店の支店長に届けてくれ」