ガタンッ。 「きゃあっ!」 ひときわ強い風にあおられ、音を立ててゴンドラが揺れると、礼奈は小さな叫び声を上げた。 手はしっかりと手すりを握り締めている。 「怖いのか?」 「べ、べつにっ。 ただ、ちょっと揺れるなあと思っただけっ」 出た。 礼奈の『べつに』。 ったく、意地っ張りなやつめ。 俺はそっと立ち上がった。 「やだっ、伊織、なに立ってんの! 座ってよっ!」