「いい加減、人の顔見てにやけるのやめろ」 ………… ったく、伊織ったら、千里眼? 顔の横にもう一つ目がついてるわけ? でも、あたしは素知らぬふりで目をそらした。 「べつにー。 だれもあんたなんか見てないし。 自意識過剰なんじゃないの?」 「んだと?」 伊織はすごんだけど、運転してるからあたしに手が出せるわけでもない。 あたしはこっそりアッカンベーしてやった。