「何してる?」 「ひゃあっ!」 背後から急に声をかけられて、あたしは飛び上がった。 振り返ると、和室の畳の上に伊織は寝転んでいた。 「びっくりしたぁ」 驚きで鼓動の速くなった胸に手を当ててそう言うと、伊織は眉を寄せた。 「泥棒の真似事か?」 抜き足差し足で歩いてたんだから、そう言われても仕方ない。 「いや、あの、えっと……」 覚悟を決めてきたのに、驚かされた拍子に言うべきセリフが飛んでしまった。