でも、今気づいたけど、横浜にバイトに来てからずっと王子のことなんてすっかり忘れてた。


あたし、何年も王子に片思いしてたのに。


王子のことを考えない日なんて今までなかったのに……




そっか。


あたし、もう――……




あたしは顔を上げて伊織の目をしっかり見た。


「違うの。
王子は、ただの同級生。
あたしが勝手に片思いしてただけ」



でも、今はもう……


あたしの中に王子はいない。


あたしが想ってるのは王子じゃない。


伊織、あなただけ――