そういえば、ママはそんなこと一言も言ってなかったっけ。 てっきり、強制的に結婚させられるんだと思ってた。 でも、あたしの思い込みだったんだ。 あたしはなんだか肩の荷が下りたような気持ちだった。 伊織は話を続けた。 「おまえが嫌なら卒業してすぐに結婚することはない。 自分のしたい勉強でも仕事でもやったらいい」 そっか。 「じゃあ、あなたとあたしは婚約者でもなんでもないってこと?」 あたしは振り返って伊織と向き合い、伊織の顔を見上げた。