伊織は突然あたしのおでこに手を当てた。 「熱はなさそうだな……」 あたしは身を引いた。 「なによ、急に」 とがめるように伊織を見ると、伊織はあたしの顔を見つめた。 「昨日からずっと元気ないだろ、おまえ? 何かあったか?」 まっすぐに見つめられ、あたしは視線をそらした。 「べつに……」 「また『べつに』か。 反抗期の中学生じゃないんだから、もうちょっとちゃんと返事しろ」