「今夜は、なに食べたい?」 「なんでもいい」 あたしはまともに伊織の顔を見られず、窓の外を向いたまま答えた。 「なんでもいい、が一番困る。 言わないと、おまえの嫌いな中華に連れてくぞ」 伊織がおどすので、あたしはしぶしぶ答えた。 「じゃあ、どこでもいいからファミレス」 ファミレスならほどほどに賑やかで、会話がなくても気詰まりにならないだろう。 そう思ってのことだった。 しかし――