婚約者☆未満


あたしは両手で力いっぱい伊織の肩を押し上げた。


あたしの上で、伊織は余裕で微笑んでる。


キーーーーッ!


ムカつくっ!


でも、至近距離で見る伊織はやっぱりイケメンで、あたしの心臓は正直に反応する。


ドキドキドキドキ……


この距離でその顔はずるい。


あたしはかろうじて抗議の声をあげた。


「あ、あたしはあんたなんかとの婚約なんて認めてないんだからっ!」