あたしは両手で力いっぱい伊織の肩を押し上げた。 あたしの上で、伊織は余裕で微笑んでる。 キーーーーッ! ムカつくっ! でも、至近距離で見る伊織はやっぱりイケメンで、あたしの心臓は正直に反応する。 ドキドキドキドキ…… この距離でその顔はずるい。 あたしはかろうじて抗議の声をあげた。 「あ、あたしはあんたなんかとの婚約なんて認めてないんだからっ!」