うわわわわ! あたしったら、なに考えてんの! あいつはセクハラ男よ。 あたしはあんなやつ絶対に好きになんてならないし、まして婚約とか結婚とか、ありえないんだから! あたしは伊織から視線をはがし、改めて部屋の中を見回した。 ほんと、なんにもない部屋。 横にある本棚を覗いてみた。 上段には、経営なんとかとか、なんとか戦略とか、ビジネス関係の本がびっしり。 下段にも、仕事関係と思われる雑誌やファイルが詰まっていた。 伊織の個人的な趣味がうかがえるようなものは見当たらない。