「仮住まい?」 「ああ、言ったろ。 俺は最初から3年で実家に戻る約束で大野に来てるんだ」 「ああ、そっか……」 それにしても、何にもない部屋…… そんなことを思いながらキャロキョロしていると、 「暑いな。 なんか飲むか?」 あたしの顔を見てそう言いながら、伊織がネクタイを緩めていた。 襟元が緩むと、急にオンからオフに切り替わった感じ。 ちょっと、色っぽい。 それに、そんなリラックスした格好を見ると、自分が伊織の部屋にいるんだってことが改めて意識されて、ドキドキしてきた。