「うちのじいさんが大野の先代と親しかった当時、俺はもう家族と行動を共にする年でもなかったから知らないんだが、じいさんはおまえをかなり気に入ってたらしい。
その当時から、将来は俺の嫁にって思ってたんだそうだ」
あの、おじいさんが……
あたしはびっくりしすぎて言葉も出なかった。
「じいさんと副社長の心積もりでは、春休みに見合いして、夏に結納、おまえの卒業と同時に結婚、ってシナリオだったようだ」
見合い、結納、結婚!?
どれもこれも、あまりに非現実的すぎて全然実感がわかない。
っていうか、何ひとつ、あたしは聞かされてない。


