婚約者☆未満


「結構です!
それより、あたし、もう少し残業していくから!」


あたしがそう言うと、伊織はあたしに向き直った。


「これは副社長命令だ。
それに、おまえに少し話がある。
重要な話だ。
で、中華でいいか?」


は?

ママの命令?

重要な話?


そんなふうに言われたら、断るわけにもいかない。


でも、素直に『はい』なんて言いたくない。


「中華なんてだいっ嫌い。
あんなカロリーの高いもの、美容の敵よ」


あたしはフンッとそっぽを向いた。