「結構です! それより、あたし、もう少し残業していくから!」 あたしがそう言うと、伊織はあたしに向き直った。 「これは副社長命令だ。 それに、おまえに少し話がある。 重要な話だ。 で、中華でいいか?」 は? ママの命令? 重要な話? そんなふうに言われたら、断るわけにもいかない。 でも、素直に『はい』なんて言いたくない。 「中華なんてだいっ嫌い。 あんなカロリーの高いもの、美容の敵よ」 あたしはフンッとそっぽを向いた。