【完】君色フォトグラフ

『4番、汐崎和由君』


場内のアナウンスにハッと我に返る。

慌てて階段を上がり、観客席のてっぺんから球場を見下ろす。


ランナーは2塁。


・・・・・・ツーアウト。



バッターボックスには和由君が立っていた。

ファースト側の応援席。

左バッターの和由君の横顔。


私は慌ててカメラに望遠レンズをつけ、構えた。

構えると同時に観客席の管楽器が一斉に鳴り響く。



なぜだか分からないけど、鳥肌がたった。



ピントを和由君の顔に合わせた。

真剣な表情。

打ってくれるんじゃないかと、期待してしまうほどの気迫迫る和由君の表情。



和由君がキリッとバットを握り直すのが見えた。

私はファインダーから視線を外した。


一球目がマウンドから、和由君がいるホームへと放たれる。


それと同時にリードをとっていた二塁ランナーが飛び出す。