【完】君色フォトグラフ

その人は、私の斜め向かいに座った。


「あなた、野球部に入部しようとしていたの?」


「あ・・・その、つもりだったんですけど・・・・・・」


「だった・・・か。じゃあ今はそう思っていないんだ」


その人は近くの食器棚からカップを出して、紅茶を入れてくれた。

湯気がふわふわとカップから離れて、揺れては消える。


「どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


私は両手でカップを受け取ると、フーフーと冷まして、一口飲んだ。


「私、深山風子(みやまふうこ)。写真部の顧問をしてるの。ねえ・・・突然なんだけど、あなた写真部に入らない?」


「え!?」


びっくりして顔をあげると、深山先生はニッコリと笑っていた。