「和由君が帽子被ってるの・・・初めてみたかも」


「お前いつも、姉ちゃんばっかりみてるもんな」


和由君は寂しそうに笑って、帽子を深く被った。


「じゃ、俺行くから。帽子、明日は自分でもってこいよ」


和由君は手をあげて校門へ向かって歩いていってしまった。


「やっぱり・・・帽子、和由君が?・・・・・・ありがとうって言わなきゃ」


私は和由君の後を走って追った。


「和よ・・・・・・」


「和由!」


和由君を呼び止めようとした時だった。


「満里奈・・・・・・」


玄関から出てきた満里奈が、嬉しそうに和由君の腕にからみつく。







中学校の頃の記憶が蘇ってくる。