【完】君色フォトグラフ

カメラと三脚を片づけていると、足下にコロコロと野球ボールが転がってきた。

私はコツンと足に当たったボールを拾い上げた。


「すいませーん!あっ!あの時の」


「あ・・・・・・」


走ってきたのは、あの時和由君と親しげに話をしていたハル君だった。


「ありがとう!」


ハル君はにこりと笑ってグローブを差し出した。

ここにボールを入れろってことかな?

私はハル君のグローブにポトリとボールを落とした。


「写真撮ってたの?」


ハル君は私の肩にかけられているカメラをマジマジと見つめる。


「うん・・・私もう行くから」


私は三脚を持ち上げ、ハル君から離れた。


「じゃあね!」


ハル君は私の背中に向かって声を跳ばしてくれた。


「あ、じゃあ・・・・・・」


振り向いた時には、ハル君はグラウンドに向かって駆けだしていた。


私はその背中に手をかざした。


「じゃあね」