こんな大きな声で、私・・・・・・!

私は急に恥ずかしくなって、手で口を覆い、俯いた。


茶髪男の足音が近づいてくる。


「お前さ、名前なんていうの?」


「お・・・大槻りんです」


「聞こえない」


「大槻りんです!」


「・・・・・・フ。お前なんか面白い。俺は汐崎和由。同じクラスだし、これからもよろしくな」


遠ざかる足音。

私はその足音を聞きながら、もう一度彼の名前を思い出していた。


「汐崎和由・・・汐崎・・・え!?」


私は頭をガバッと起こし、過ぎ去る和由君の背中を凝視した。







彼は私の憧れの・・・汐崎柚さんの弟だった。