私はとっさに顔を下げた。


「お前、人の顔見るの苦手なの?」


「!」


顔がぼわっと熱くなる。

私は茶髪男に顎をクイっと持ち上げられていた。


「・・・・・・いいじゃん。前の眼鏡より似合ってる」


茶髪男はニッコリと微笑むと、私の手にスクールバックをボスンと渡し、スタスタと学校に向かって歩いていく。


「あ・・・・・・」


距離はドンドン離れていく。



言わなきゃ!




「っあ、りがとお!」


私は茶髪男に向かって大きな声で叫んでいた。

茶髪男は私を真顔でじっと見つめる。