「この写真でいいのね?」


コンコンとストーブがたかれる冬の部室。

私は深山先生と写真コンクールに送る写真を選んでいた。


「ですね。やっぱりこの表情が一番好きです」


私が選んだ写真は、あの時の写真だった。


笑顔の和由君。


あれから何枚か写真を撮ったけれど、これが一番好き。



本当の和由君の心の奥の表情を撮れた写真はこれだと思うから。



本当の和由君は、もっと子どもっぽくて無邪気で・・・私はそう思っていた。




雪がしんしんと降り積もる道を、ギュッギュという足音とともにバス停へと向かう。


バス停の椅子には満里奈が縮こまりながら座っていた。

私に気づいた満里奈がおしりを少しだけ横にずらす。



私はその隣に座った。