「なんとか、いいなさいよ」 肩で息をしている茜が絶え絶えに言った。 あたしは茜を抱きしめていた、体が勝手に、だ。 「はぁ?離し」 「ごめんね」 口から漏れた謝罪の言葉。 何でだろう、この間まで茜を妬んでいたのに。 「あんたのそういうところ、昔から嫌いだった」 のび切っている茜の爪があたしの手を引っかいて、 離れた。 赤い線が一つ、蚯蚓腫れになって残った。