「麻衣ー、起きてるー?」

「起きてるー」


朝が来た。

ついに来てしまった、卒業の日。


昨日は眠れなかった。

外を見るとよく晴れていた。

よかった。




私は制服を着て、全身鏡の前に立つ。


ダサいダサいと思ってた制服も、もう着ることないんだな。

そう思うと、何だか愛しく思えてくる。


校章の模様、こんなんだったっけ。

ちゃんとまじまじと見た事なかった。



紺のサブバック。

もう大分ボロボロだ。


友達とお揃いでつけてたキーホルダーとか、修学旅行で買った縁結びのお守りとか、がちゃがちゃついてる。



これももう使う事はないんだね。



物にも愛着。

お世話になりました。




卒業、寂しいけど、今日は笑っていよう。

私は鏡に向かって、無理やり笑顔をつくった。