学ランの下に着たパーカー。
履き潰した上履きのかかと。
ふわふわの髪。
いたずらな瞳。
何だか、まぶしい。
すべてがいつもよりも余計に愛しく思えてくる。
もちろん気持ちを伝えたことはない。
仲のいい友達。
くだらないこと言い合って、笑い合ったり、ふざけ合ったり。
色気も何もあったもんじゃないけど、この関係も悪くないかななんて思ってた。
ずっと近くにいられれば、それでいいと思ってた。
「丸山、置いてくぞー」
「あ、待ってー」
でも、明日からはそうはいかなくなる。
鶴田が卒業式で歌う合唱曲を口ずさんだ。
何でだろう。
明日で卒業なんて実感がわかないよ。
考えたくない。
でも現実は、くる。

