花とアイドル☆《完》

「きっと、話して花乃さんが
下宿を不安に思われるのを、
避けたかったんじゃないですか」


花乃の気持ちを察して、奈津美さんがなだめるようにそう言う。


「むぅ……」


それはありえるな、と花乃は思った。


花乃は、この年代の女のコにして
は珍しいくらい、アイドルや芸能界には興味がないから。


もし事前に本郷家のことを聞いていたら、

『そんなとこに下宿なんて絶対
ムリ!』

と言い張ってたに違いない。