花とアイドル☆《完》

そう思ったけど、後半のセリフは
ちょっと嬉しかったので、花乃は
あえて何も触れずに、


「でも、次のバス来るまでどー
しよっか?」


と問いかけた。


「んー。

1時間じゃ、行って戻って来る
だけの場所もないしなぁ。

ベンチあるし、バス停で待ってる
しかないんじゃない?」


サングラスを少しずらしてバス停
を注意深く眺めて、拓斗はそう
提案する。


「そーだね。

じゃあ、行こ」


そうして2人は手をつないで
バス停まで歩き、古ぼけた木製の
ベンチに並んで腰をおろした。


目の前の視界に広がるのは、
一面の水田。


聞こえるのは、セミとカエルの
鳴き声だけ。


人ひとり通らず、まるで時間が
流れていないかのような錯覚を
受けてしまう。