花とアイドル☆《完》

「……びっくりした。

起きたら花乃さんいるから……」


「ごっ、ゴメンなさいっ。

か、勝手に入ったりして……」


「ん。――どしたの?

なんかあった?」


拓斗はまだ完全に目がさめては
いないのか、ぼんやりとした
口調で尋ねる。


「あ、あの……おっきな音がした
から、気になって……。

そ、そこの時計が、落ちたみたい
で、」


「あー、コレ?

そっか、オレ、ガチで寝てたん
だな。

ぜんぜん気づかなかった」


拓斗は時計を手にとってざっと
眺める。


壊れていないことを確認すると、
それを元の位置に戻して、ゆっく
りと立ち上がった。


「ゴメンね、騒がしくして。

んで、それは……?」


拓斗は、視線で花乃の手元を
示した。


何着かたたんだ後、今花乃の
手は、拓斗のパジャマのシャツを
握りしめている。