花とアイドル☆《完》

まずはおそるおそる目覚まし時計
を拾い上げて、サイドボードの
隅に戻す。


そして、ベッドの片隅に寄せ
られていたシーツをとって、
そっと拓斗の体にかけた。


――あんな大きな音がしても
起きないなんて。

今日も疲れてるんだなぁ……。


ドキドキするのを押さえてチラリ
と拓斗の寝顔を見てみる。


部屋が明るいせいで、長いまつげ
の影が頬に落ちて――男のコ
なのに、ものすごくキレイで。


とたんに押さえていたはずの
ドキドキが倍くらいの勢いで
復活して、花乃はあわてて目を
そらした。



――と。


ソファの上に、何着かの洋服が
乱雑にかけられているのが目に
入る。


今朝着ていたチェック地のシャツ
やパジャマや、それ以外にも
いくつか。