花とアイドル☆《完》

「な、なに、今の音?」


距離があるのかそれほどうるさく
は感じなかったものの、かなり
大きな音だったことに違いはない。


それに、何かが落ちたか、ぶつ
かったような音だった。


――なんか……上の階から聞こえ
たみたいだけど……。


上の階というと――今夜は、
拓斗しかいない。


「……………」


花乃はどうするべきか悩んで、
しばらくその場に立ち尽くして
いた。


――何かあったのかな。今はもう
静かだけど……。

で、でももしかしたら、急病で
倒れたとか……!


なんでもないかもしれない。

でも、気になる。


――愛香さんは……起きてないよ
ね、反応がないってことは……。


彼女は、一度寝たら朝まで起きな
い人なのだ。


「うぅ……一人で行くしかない
かぁ(>_<)」


花乃はようやく決心すると、
カーディガンを羽織って、そっと
廊下に出た。