花とアイドル☆《完》

髪の毛をとかし終わってブラシを
コトリとテーブルに戻すと、
花乃は、ほぅっと小さくため息を
ついた。


――はぁ……今日もぜんぜん
ダメだったなぁ。


先週末、遥が尋ねて来たとき以来。


花乃は急に拓斗を意識するように
なってしまい……顔を合わす
たびに不自然な態度になっている
のが、自分でも痛いくらいよく
分かっていた。


――普通にしようと思えば思う
ほど、緊張しちゃうんだもん……
どぉしよう


それもこれも、遥のあのフライン
グ発言が原因なのだが、あれ以来
遥は顔を見せないし。


愛香さんに相談するわけにも
いかないしで、花乃は心底頭を
悩ませていた。


――せっかく打ち解けたのに、
こんなことでギクシャクしちゃう
なんてイヤなのに……。