花とアイドル☆《完》

拓斗の気がかりの種は、まさに
奏の言ったことそのままだった。


今朝はちょうど家を出る時間が
重なり、玄関先で花乃と顔を
合わせたのだけれど。


そのときの花乃の態度が、何だか
ぎこちないというか、よそよそ
しいというか。


どうにも、そんな感じがして
ならないのだ。


――てか、今朝だけじゃなくて、
ここ数日はなんかそんな感じが
するんだよな……。


先週のうちに足のケガは回復し、
今はもうぜんぜん普通に歩ける
みたいだし。


時々遥が様子を見に来てくれるの
を、『嬉しい』と笑顔で話して
いた記憶がある。


週末にも遥はやって来て、3人で
楽しく過ごしたと、愛香が言って
いた。


――今さら遥となんかあったって
こともないだろーし。

オレ、なんかマズいことしたっけ
か?