花とアイドル☆《完》

「なんだ、スケジュールを見て
いながら、心ここにあらずか。

しっかりしてくれよ。

今日最初の打ち合わせは、鬼の
あだ名で有名な監督も顔を出すん
だぞ」


「分かってるよ」


お説教モードに入った奏に辟易
しながら、拓斗はめんどくさそう
に返事する。


奏はそんな拓斗にやれやれ、と
いう感じで肩をすくめると、


「堀内さんのことでも考えて
いたか?」


と、どこか楽しむような声で
問いかけてきた。


「えっ、な、なんで……」


「お前の考えていることなど
だいたい分かる。

それに、先ほどの彼女の様子は、
たしかにおかしかったからな」


「…………」


図星をさされて完全に返す言葉の
出ない拓斗は、ふてくされた
表情で答えとした。


――ったく、あいかわらず目ざと
い人だな


でも。