花とアイドル☆《完》

一緒に住んでるから接点がある
けれど、毎日の生活も、住む
世界も、ぜんぜん違う。


遥クンみたいに、一緒に過ごした
長い時間があるわけでもない。


そんなあたしを、拓斗クンが、
そういうふうに見てくれるか
なんて……。


とてもじゃないけど、自信ないよ。


花乃は、トボトボと来た道を
引き返しながら、深いため息を
ついた……。



     ☆☆☆☆☆



「――なんか、おかしいな……」


今日のスケジュールに目を通し
ながら、拓斗は知らず知らずの
うちに呟いていた。


「ん? 何がおかしい?」


ミラー越しに拓斗をうかがい
ながら、奏が怪訝な声をあげる。


「あ、ゴメン。こっちの話」


声を出してしまっていたことすら
今気づいて、拓斗はあわてて
謝った。