花とアイドル☆《完》

「う……。は、遥クン」


花乃は、とてもじゃないけど
スルーできない言葉を残されて、
恨みがましい目で遥を見つめる
けれど……。


「ダメです。

花乃さんも、ちゃんと自分で
考えてください。

フライング発言しちゃったのは
謝りますけど、後はボクじゃー
なんにもできません」


スパッと言い切ると、遥は何事も
なかったように笑顔で手を振って
、帰っていってしまった。


残された花乃はポツンと門扉の
前に佇み、途方にくれる。


「……自分で考えろ、って言われ
ても――」


――あたしだって、そこまで
鈍感なわけじゃない。


そう。


自分の気持ちなら、もう薄々
気づいてる。


でも――拓斗クンの気持ちは、
分からないから。


アイドルと、ただの女子大生。