花とアイドル☆《完》

今の明るい笑顔を見ていても、
もう遥は大丈夫だと、花乃には
確信できた。



間もなく愛香さんがリビングに
やってきて、みんなで和やかに
お茶を飲んだ。


ひとしきりたわいない話で盛り
上がり、そろそろお開きにしよう
かというとき。


「花乃さん。

足慣らしついでに、門の所まで
送ってもらえません?」


荷物をまとめながら、遥がそう
頼んできた。


「? ぜんぜんかまわないよぉ」


普段は玄関で見送ることが多い
けれど。

特に断る理由もないので、花乃は
快くOKして、遥と一緒に玄関を
出る。


両脇を花壇の花に彩られた敷石の
小道をゆっくりと歩きながら、
門扉まで向かう途中。


それまでの沈黙を破って、遥が
切り出した。


「花乃さん。

拓斗のこと、よろしくお願い
しますね」


「――――え?」