「そっか――。

覚えてて、くれたんだね……」



遥は、拓斗の答えがよほど嬉し
かったのかもしれない。

頬をピンクに染めて、かみしめる
ようにそうつぶやく。


「まぁな。

お前、やたら真剣に話してたし」


「ウン――。

真剣に、そう言ったんだよ。

ずっと、拓斗と一緒にいたいって
思ってたから」


「別に、オレは今でも歓迎してる
ぜ?

まぁ、マネージャーは現状朱鷺田
さんがいるけど、将来どうなるか
なんて、分かんないもんなー」


拓斗は、ごくさりげない口調で
そう話しているけれど。


もしかしたら拓斗も、遠い未来は
遥と二人、芸能界での仕事を
頑張っている――そんな姿を、
前から思い描いていたのかも
しれない。


花乃には、そう思えた。