花とアイドル☆《完》

だから、拓斗に伝えるのは、
『遥が花乃に嫉妬していた気持ち
を話した』ことだけでいい。


花乃は、遥が困惑の表情を浮かべ
ているのに気づいてはいたけれど
、先回りして、拓斗に伝えた。


「拓斗クン。

あたし、ホントによかったと
思ってる。

だから、遥クンを怒らないで?」


「怒るも何も……。

そもそもの原因はオレなわけ
だし、オレが怒れる立場じゃない
っつーか」


拓斗は、花乃と遥を交互に見なが
ら、そう答える。


それを聞いて花乃はホッと胸を
撫で下ろすと、空気を変える
ように、明るい声で言った。


「じゃあ、二人は仲直りだね!

よかったぁ〜」


「仲直りって……なんかガキの
ケンカみてー」


拓斗が、ちょっと冷やかすような
口調で返す。


いつもの、照れ隠しだ。