花とアイドル☆《完》

それが花乃には何より嬉しくて。


色々あったこと全部、それだけで
報われると思えた。


「遥クンこそ、あたしが勝手に
大げさに驚いて転んだりしたから
、びっくりしたでしょ?

あたし、どんくさいから

ゴメンね」


花乃のその発言に、遥はこれ以上
ないくらい大きく瞳を見開いて。


驚きのあまり声は出ないようで、
目だけで『どうして?』と問い
かけてくる。


なので、花乃もニッコリほほ笑む
だけで、答えにした。


――これでいいの。

遥クンに悪意があったわけじゃ
ない。

言わなくていいことは、言わなく
ていい。

ただ、あたしと遥クンが知ってれ
ば。

それだけで、充分――。