花とアイドル☆《完》

「拓斗が芸能界に入ってからは、
ずっとそうだったけど。

特にここ1年くらいは、ボクの
こと、避けられてるなって思って
た……」


隣で、拓斗がハッと息をのむのが
分かった。


遥もそんな拓斗にチラリと視線を
走らせ――多少戸惑いながらも、
先を続ける。


「拓斗、人気どんどん上がって、
すごく忙しくなったみたいだし。

ドラマとか、難しそうな仕事も
増えて、きっとそれだけで頭
いっぱいだろうから、仕方ない
って思うようにしてたけど……」


「遥………」


「ボクは――芸能界に入っても、
拓斗はずっと、ボクの親友だって
思ってた。

でも、拓斗は変わっちゃって……。

ボクは、テレビの中の拓斗を
応援するしかなくなって。

ホントは、すごく辛かったんだ」