花とアイドル☆《完》

その瞳に、さっきまでのいぶかし
げな色はない。


純粋に、遥のことを知ろうとして
くれてる――そんなふうに、
花乃には見えた。


「遥クン――?」


――がんばって。

勇気を出して。

伝えなきゃ、何も始まらない
――。


花乃と拓斗が見守るなか、遥は
まだ決心がつかないようで、
しばらく黙り込んでいた。


花乃は、まだ掴んだままだった
遥の腕を、きゅっと、気持ちを
込めて握る。


それが、伝わったのかどうかは
分からないけれど。


やがて遥は、そっと反対の手を
かけて花乃の手を解くと。


最初に、一瞬だけ花乃を見て――。

そして、拓斗に向かって、ポツ
ポツと話し出した。