花とアイドル☆《完》

――は、恥ずかしい〜っ//////

掴まってるのが精いっぱいだよ
……。


花乃は黙って、拓斗の体から
自分に伝わる振動に、身を任せて
いた。


拓斗も、何も言わずに歩を進めて
いたが――やがて、控えめな声で
問いかける。


「――何があったの?

みんな心配したよ」


「う、うん……」


――そうだよね。

きっと、愛香さんと奈津美さんも
探してくれた違いないし……。


心配をかけたことは、本当に
申し訳なく思った。


でも――。


真実は、今はまだ……話せない。


遥との会話が、ものわかれに
終わってしまって、まだ解決して
いないから。


拓斗の気持ちを遥に話せなかった
のと同じように……遥の想いを、
勝手に話してしまうことも、
できない……。