花とアイドル☆《完》

「遥クン……」


上半身だけを起こして、目の前に
立ちすくむ遥を見上げると。


遥も、今にも泣きそうな表情で、
花乃を見下ろしていた。


「……ボクは認めない。

あなたの言ったことも――あなた
自身も……!」


かすれる声でそう叫んで。


遥は何歩かその場から後ずさり
――。


そのまま踵を返すと、花乃に背を
向けて、駆け出した。


「遥クン! 待って――!」


急いで立ち上がり、遥の後を
追おうとして。


――――!


花乃は、左足に鋭い痛みを覚え、
硬直する。


「やだ――どうしよう……」


痛みを感じるのは、左の足首。

さっき、段差に足をとられた方の
足だ。


「拈っちゃったのかな――」


手でさすりながら見ても、外傷は
ない。