花とアイドル☆《完》

自分から避けていた相手を、
そんなふうに話せるとは思えない。


「気のせいじゃないの?

拓斗クンは、そんなことする
人じゃ……」


「気のせいなんかじゃない。

1年も続けば、誰だって分かる
でしょ」


悔しそうに言い返す遥。


悲しいことだけれど、その事実
には確信を持っているようだ。


「そんな……」


『そんなことない』と言おうと
して。


花乃はハッと思い当たることが
あった。


――もしかして……。

友達だからこそ、会いづらかった
のかも……。



以前、拓斗が話してくれたこと。


同級生や地元の人達に、達也さん
から『協力依頼』がされている
ことを、拓斗は周囲に迷惑を
かけていると思って、引け目を
感じていた。