花とアイドル☆《完》

「あ、あたしは、今までのことっ
て知らないから……。

普通に、みんなと仲よくできれば
いいなって思ってるだけなん
だけど……」


ためらいながらも、花乃はそう
説明した。


「……それだけなんですか?」


遥は、低く押し殺した声で早口に
聞いてくる。


「う、うん」


「そんな――ずるいよ。

それだけで……一緒に住んでる
ってだけで……」


「―――え?」


――遥クン、今なんて言ったの?

ずるいって……?


もう、遥の言っていることの
意味が、よく理解できない。


しかも遥は、徐々に悲しみとも
怒りともつかない苦痛の表情を
あらわにしてきて。


花乃は、自分もパニックになり
そうなくらい、混乱していた。