花とアイドル☆《完》

午後にけっこう小さな美術館を
廻ったりしたときも、怪しまれる
ような気配は全くなかった。


『ま、季節外れの避暑地だしね。

まさか芸能人がのんびり観光して
るとは、誰も思わないか。

それ聞いて安心したわ』


受話器の向こうで、みずほが
ホッと息をつく。


「ありがと、心配してくれて」


『いいわよお礼なんて。

あ、そーいえばこっちは、こない
だ言ってた一回生の情報が入った
わよー』


「一回生? ……なんだっけ?」


すっかり旅行気分一色になって
いる花乃は、みずほの言う件が
すぐに理解できなくて、おうむ
返しに問い返した。


『ホラ、うちの一回生に変な
拓斗のファンがいるって話、
してたでしょ!』