花とアイドル☆《完》

自分しか応対できないのは明らか
なので、迷わず立ち上がって
移動し、インターホンのモニター
を覗き込むと――。


画面上で門前に佇んでいたのは、
奈津美さんではなく、一人の
少年だった。


――あ、そぉだ!

拓斗クンのお友達……!!


思い付いた花乃は、すぐに通話
ボタンを押して、応答する。


「はい、
どちらさまでしょうか?」


『あ……おはようございます。

牧野といいますが、拓斗くんは
いますか?』


高めの、やや緊張した感じの声が
インターホン越しに尋ねる。


――しまった、お友達の名前って
……聞いてなかった

でも、スポーツバッグ肩から
さげてるし、このコだよね。