花とアイドル☆《完》

「拓斗クン、もしかしてこうなる
こと予想ついてた?」


もしやと思ってこっそり尋ねて
みると、


「まーね♪

朱鷺田さん、昔っから母さんに
だけは頭あがんないんだよなー。

だから、朱鷺田さんが自分から
母さんに説明したって時点で、
読めてた感じ?」


と、案の定な返答が返ってくる。


――なんだ。

どおりで、落ち着いて傍観してた
わけだぁ。


一人ハラハラしていた自分は、
ちょっぴり損なような気もした
けど。


でも、いざこざが解決した安堵感
で、花乃は心がふわぁっと軽く
なるのを感じていた。


「朱鷺田さん。

オレも、少し話しときたいこと
あるから。

ま、明日でいいけど」


拓斗がやや真剣な口調で言う。


朱鷺田さんは黙って頷いて、
立ち上がった。