花とアイドル☆《完》

     ☆☆☆☆☆



一体どう言い訳しようか、あれ
これ考えながら、本郷家の門を
くぐると。

二人が玄関先にたどり着くよりも
早く、バンッ! とドアが開いて
、中から険しい表情の愛香さんが
出てきた。


暗証番号で門を解錠した音を聞き
付けて、待ち切れず飛び出して
きたのだろう。


「か、母さんただいま

遅くなってゴメ――」


「遅くなって、じゃないわよ!

ろくに何も言わずに出て行くし、
携帯も出ないし!

心配するでしょ!?」


愛香さんは頬を真っ赤にして
拓斗に詰め寄る。


――あ、携帯……。


言われて、自分もマナーモードの
ままバッグに入れっぱなしだった
ことを思い出した。