花とアイドル☆《完》

拓斗は、しばらく神妙な顔つきで
花乃を見返していたけれど。

やがて、観念したように表情を
崩した。


「――ったく。

花乃さんにはかなわないや!」


「え!?」


――か、かなわないって?


「花乃さんがそーゆーと、なんか
ホントにそーゆーふうに聞こえる
し。

オレ、いちおー今までけっこう
悩んできたんだけどな〜」


「え!? 

そ、そんな騙されたみたいな
言い方しなくてもぉ」


「ここで『ハイ了解』ってスッキ
リしちゃったら、オレ、相当な
ノーテンキの気がするんだけど、
いいのかな?」


拓斗は、わざとそんな軽い言い方
をしているみたいに聞こえた。

もしかしたら、彼なりの照れ隠し
なのかもしれない。

そう感じたから、花乃は、


「いいんじゃない?」